富士山「まなびの森」が10月21日、環境省から「自然共生サイト」として認定され、認定証を授与された。
住友林業が管理し、希少な動植物が生息・生育しつつ、人々が多様な活動を行える場として評価されている同施設。同社の認定は愛媛県新居浜市旧別子地区の社有林に続いて2カ所目。
自然共生サイトは「民間の取り組みにより生物多様性が保全されている区域」を国が認定するもので、2030年までに陸地と海域の30%以上を健全な生態系として保全する国際目標「30by30」達成のため、環境省が2023年度に認定を始めた。
富士山「まなびの森」は、静岡県富士宮市に位置する95.65ヘクタールの国有林で、1996(平成8)年の台風被害をきっかけに、同社が1998(平成10)年から自然林再生プロジェクトを実施。多くのボランティアが協力し、2002年までに約35ヘクタールに3万本の落葉広葉樹の苗を植え、これまでに約3万5000人以上が参加している。
同施設内「フォレストアーク」の沢田明宏副館長は「今回の認定は、長年協力いただいたボランティアや研究機関、地元のNPO、森林管理署や県・市の関係者など多くの協力者の尽力の賜物」とした上で、「植樹エリアは26年の時を経て少しずつ森らしくなりつつあるが、自然の森に近づくためにはさらに時間がかかる。これからも協力していただける人にバトンをつなぎながら活動を続けていきたい。認定を契機に富士山「まなびの森」がより多くの方に認知され、楽しみながら学んでもらえる場になれるよう努力を続ける。自然の価値が正しく理解され、気候変動対策に大きな役割を果たす保全活動が、さらに盛り上がれば」と期待を込める。