富士山の麓にある氷の洞窟「鳴沢氷穴」の内部で録音した「氷穴EP」の配信が9月25日、始まる。アーティストは曽我部恵一さん。配信はオトトイ(東京都渋谷区)。
収録曲は5曲。同アルバムは、銭湯やかまくら、キャンプ場など、「一風変わったこだわりの場所」で高音質録音を行う「Special Place Recordings」シリーズの最新作。レコーディングの舞台となった鳴沢氷穴は青木ヶ原樹海の東の入り口に位置する溶岩洞で、今から1150年以上前にできたとされる天然記念物。
高音質で録音しているため、耳を澄ますと、溶けた氷が水となって滴る音が聞こえてくるほか、音を反響しない玄武岩の特性で、歌い手の曽我部さんが耳元でささやいているかのように聞こえるという。
「氷穴は極めて心引かれるロケーション」というオトトイの長島さん。「洞窟で弾き語りを録音したらどうなるのか、氷が音響や音質にもたらす影響はあるのかなど、シンプルな好奇心から、ある種の実験として氷穴での録音を企てた」という。「間違いなくこれまでに聴いたことのない作品に仕上がったと確信している。ぜひ聴いてみてほしい」と呼び掛ける。
曽我部さんは「いざ入ってみると氷穴は寒い。とてつもなく。音合わせとしてぽろぽろ歌いはじめるが、指先はすぐに冷たくなり、足元から血が奪われていくようだった。生の気配のどこにも感じられない世界。その中で、いくつもの滴の音だけが、あるポリリズムを形成していた。それは時間が置き忘れていった遠い昔の鼓動のようにも思える」とコメントを寄せる。
価格は1,080円。音楽配信サイト「OTOTOY」で視聴でき、現在、予約注文を受け付けている。鳴沢氷穴でのレコーディング写真を収録した曽我部さんデザインの歌詞ブックレット(PDF)が付く。