山梨県富士山科学研究所(富士吉田市)が9月6日、富士山北麓の赤池が主に降雨により形成されており、精進湖と地下水を通じて繋がっているとする従来の説を覆す発表を行った。
赤池は、富士五湖の一つ・精進湖の南東に大雨が降ると出現する一時的湖沼。過去 40 年間で出現が報告されたのは計 7 回で、「幻の湖」としても知られている。
赤池の発生の仕組みについて、精進湖の水位が上昇すると出現することから、精進湖と地下水を通じてつながっているなどさまざまな説が提唱されてきたが、いずれも科学的根拠がなく未解決の問題となっていたという。
今回の発表は、同研究所と山梨大学大学院総合研究部、立正大学地球環境科学部が連携し、2020年7月に9年ぶりに出現した赤池の水質や水の安定同位体比の分析を行ったもの。
分析を行った赤池の水は、同時期に採取された精進湖の湖水とは明らかに異なっていたという。また、赤池出現後の降雨時に、赤池の水の安定同位体比が降雨試料側に大きな変化を示したことから、赤池に流入した水が主に直近の降雨に由来することが明らかとなった。
赤池では、水中のカルシウムイオンや重炭酸イオンの濃度が、赤池周辺の水試料に比べて1/2から1/4程度と低くなっており、赤池を形成した水の起源が降雨が地下浸透後、地下深部へ移動することなく、比較的短い数日程度で流出したものであることも分かった。