富士吉田市で5月14日、農作業の始まりを告げる「農鳥(のうとり)」が観測された。
農鳥は4月下旬から5月中旬にかけて富士山に出現する、7合目~8合目(標高3000メートル)付近の鳥の形をした残雪。富士吉田市は2008年~2009年ごろから農鳥が観測された際の宣言を始め、2017(平成29)年、2018(平成30)年とも5月11日に、2019(平成31)年は4月25日に宣言している。
富士吉田市歴史民俗博物館が刊行する「富士八海をめぐる」によると、かつては農鳥が出る頃に種もみを苗間に下ろし、それが卵型になったら田植えをする目安としていたという。今は農作業が早まって、実際には農鳥が出現する頃に田植えを行うのが実態。1814年ごろに書かれた「隔掻録(かくそうろく)」に農鳥の記述があるという。
市富士山課は「今年は桜の開花後に降雪があったが、5月に入り徐々に気温が高まり、例年通りの出現となった。富士の麓に農作業の始まりを告げる農鳥、コロナに負けず、豊作でありますように」とコメントしている。