静岡県小山町で現在、特産物の水かけ菜(水菜・トウ菜)の収穫が最盛期を迎えている。
水かけ菜はアブラナ科の野菜で、一般的に言われているミズナ(京菜)とは別の農産物。1886年(明治19年)に旧北郷村(現小山町)阿多野の戸長が越後(現新潟県)から持ち帰った種子を栽培したのが始まりとされる。冬期の水田に富士山の湧き水を流して栽培するため「水かけ菜」と呼ばれるようになった。
富士山周辺は「準寒冷地」で、冬期の農業に適さないが、同地に湧く富士山の湧き水は、年間を通して約13度と安定しているため、冬場の水田に富士山の湧き水を流すことで保温し栽培ができる。
水かけ菜収穫は厳寒期の1月下旬から3月上旬にかけて最盛期。食べ方は、塩で漬け込んで漬物にするほか、おひたしや炒め物にも適している。
同町に住む高村さんは「茎の『トウ』と呼ばれる部分が伸びてから摘む。柔らかくておいしい。毎年栽培しており、収穫して知りあいに配るのを楽しみにしている」と話す。