富士吉田市で5月11日、農作業の始まりを告げる「農鳥(のうとり)」が観測された。
農鳥は、4月下旬~5月中旬にかけて富士山に出現する、7合目~8合目(標高3000メートル)付近の鳥の形をした残雪。かつては、農鳥が出るころに種もみを苗間に下ろし、それが卵型になったら田植えをする目安としていた。1814年ごろに書かれた「隔掻録(かくそうろく)」に農鳥の記述がある。
同市が2008年~2009年ごろ、宣言を始めた。昨年は5月12日に出現している。同市富士山課によると、「今年の農鳥は平年並みに現れた。3月下旬に雪も降り桜などの開花も遅れていたが、4月下旬からの暖かな陽気にも恵まれ農鳥が出現した」という。
「麓では田植えに向けて準備が進み、新緑の爽やかな季節とあいまった富士山が訪れた方々を癒やしてくれるはず」とも。