歴史文化講演会「200年の謎に挑む。葛飾北斎の三十六景の富士山はどこで描かれたのか?」が6月15日、富士市富士川ふれあいホール(富士市岩淵)で開催される。主催は国指定重要文化財「古谿(こけい)荘」(富士市岩渕)について研究する団体「古谿荘に親しむ会」。
「富士五湖.TV」代表の久保覚さんが講師を務める。365日360度から撮影した富士山のライブ画像と画像処理技術で江戸時代の浮世絵の謎を科学的に分析した結果を伝える。葛飾北斎の名所浮世絵揃物(そろいもの)「富嶽三十六景」全46図中の一図「赤富士」(あかふじ)とも呼ばれる「凱風(がいふう)快晴」が河口湖畔・富士吉田・富士川河口のうちどこから描かれたかを解説する。「富嶽三十六景」の全46図中、「凱風快晴」・「遠江山中(とおとうみさんちゅう)」「山下白雨(さんかはくう)」の3点は、どこから見た図なのか確定できていない。
1963(昭和38)年生まれの久保さんは山梨県河口湖町出身。20代はシステムエンジニアとして大手建設会社と人工知能CADの開発やソニーと共同でA1タブレットの開発などを行った。1995(平成7)年に河口湖町に戻り、富士山の情報発信サイトを立ち上げ、富士山のライブカメラを富士山周辺に配置。2010(平成22)年ごろ、360度の富士山の365日ライブ配信を始めた。
同会の森佑司会長は「インターネットで検索中に、『凱風快晴』が富士吉田側からではなく富士市富士川河口から描かれたという久保さんの新説を見つけた。富士市民として広く知らせる必要があると思い講演を依頼した。アーティストではない方が葛飾北斎をコンピューターグラフィックスで分析するのが面白い。山梨県在住の久保さんが駿河湾からの作画であると新説を唱えることに敬意を表したい」と話す。
久保さんは「地域にはまだまだ面白い真実が深く埋もれていて、それらは誰でも手が届く範囲にある。普段の観察と気付きで新しいことを発見できるきっかけになればうれしい。今回は葛飾北斎の講演だが、新発見の驚きと新しい論議が生まれると思うので、その空間を共有するために多くの人に来場してほしい」と話す。
開催時間は15時~。定員60人。入場無料、申し込み不要。