富士山麓で起きた野生動物の交通事故の場所と動物の種類を示した「富士山『動物交通事故死』マップ」が2月1日、インターネット上で公開された。
非営利団体「富士山アウトドアミュージアム」が独自に収集したデータを元に、首都大学東京渡邉英徳研究室が制作した同マップ。交通事故に遭った場所と動物の種類をデジタル地球儀上で把握できる。現在見られるのは2014年5月29日から2015年末までのもの。
同マップを作るまでは、富士山周辺で動物が道路上で車にひかれる「ロードキル」が発生しても記録に残されていなかった。そのため、富士山麓でどんな季節に、どんな動物種が、どんな場所で被害に遭っているのかを可視化して明らかにしたかったという。
交通事故のデータは現在も引き続き収集にあたっており、発見した日時・天候・位置情報・周辺環境の特筆すべき状況・被害個体の計測・写真撮影をし、データベース化している。富士山アウトドアミュージアムが1週間に2~3日、主要国道と県道などを早朝に走って調査しているほか、専用ダイヤル(TEL 090-9369-2296)を設け、地域住民に情報を寄せてほしいと呼び掛けている。
夜行性の生き物が多い地域ということもあり、発見や通報がされるのは早朝や夕方が多い。「深夜は速度を上げて通行している大型輸送系のトラックが多いことも理由の一つかもしれない」とも。
富士山アウトドアミュージアム代表の舟津宏昭さんは「私たちが通行している富士山麓の多くの道路は、野生動物たちも利用する豊かな生態系の広がる場所にある。その道路を通行する際には『森の中におじゃまします』という人間主体ではない謙虚さがあればいいのかなと思う」と呼び掛ける。
「まだまだデータとしては未成熟なものなので継続して調査を続けていく必要があるが、将来的にはカーナビとの連動や自動車の衝突軽減ブレーキシステムへの活用、世界遺産になって増加しているレンタカー利用者や地域住民への啓発に役立ってほしい」とも。
マップは今後も更新を続けていく予定。