静岡県富士市は先ごろ、2015年1年間の富士山観測記録を公開し、2015年に富士山の「全体が見えた」日数は、午前8時の観測で145日あり、「全く見えない日」は160日あったとした。
観測は、毎日8時・12時・16時の3回、市庁舎8階から目視で行い(休日は、市役所の定点カメラを併用)、「全体が見えた」「一部が見えた」「全く見えない」の3つに分類した。
月別に見た場合、秋から春にかけて富士山の見える割合が高く、登山シーズンである7月・8月は、7割以上が「全く見えない」日だった。時刻別では8時に「全体が見えた」割合が最も高く、「午後になるに従い、見えにくくなる傾向がある」という。
平地での天候が晴天であっても、必ずしも富士山が見えるわけではないことから、平地での天候と見え方の関係について、「1~4月と10~12月は、晴れた日数と富士山の全体が見えた日数が近いが、5~9月は平地で晴天であっても周辺の雲や霧に寄って富士山が見られない場合が多く、両者の乖離(かいり)が大きくなっている」とも。
観測は1990年5月から、定時・継続的データの収集を目的として行っている。1991年3月に同市が「富士・愛鷹山麓地域環境管理計画」を策定し「自然風景の保全」を掲げたが、当時、計画実施の基礎となる富士山の眺望についての観測記録かなかったことから始まった。