「おむすびさや」(富士市中央町1)が11月29日から、岳南電車江尾駅(江尾)で「富士結び弁当『はじまり』」の販売を始める。
同弁当は富士市のSDGs登録プロジェクトとして立ち上げられた取り組みで、弁当そのものを「地域を知るきっかけ」とする発想から生まれた。身近にありながら、市民にまだ周知されていない地元食材の魅力を伝え、生産者や市内の店舗・企業へ足を運んでもらう流れをつくることを目指している。岳南電車の公認を受け、11月9日の「岳南電車まつり」では完成披露を兼ねた初販売を実施。今後は月2回、同江尾駅で限定30個(事前予約)を販売する。
弁当に使う食材は、「素材の味がそのまま伝わるようシンプルな調理方法を基本としている」という。米は、やまたか農場(境)の早刈り米を使用。塩むすびは、カンホアの塩、沖縄のシママース、遠州沖の塩の3種の塩を使い分け、空気を含ませるように握ることで米の甘みを引き立てる。「香りむすび」は、柔らかなかつお節と本多醸造所(富士岡)のしょうゆをご飯に混ぜ込み、遠州の青板のりで包む。
卵焼きには後藤養鶏(神谷)の「ごとうのたまご ふじ太郎」を使い、めざしは「いちまるや」(中央町)が選んだ国産ものを仕入れる。地元産の旬の野菜を巻いた肉巻きは砂糖じょうゆで味付けし、肉団子はIFU(江尾)のキクラゲの食感と、こころみち糀(こうじ)店(江尾)の冷凍こうじを使った自家製塩こうじの風味を生かした。県内産の焼きシイタケは、神戸醤油(しょうゆ)店(北松野)のみそを塗って炙(あぶ)り、春巻きは刻み昆布を中心にだしじょうゆこうじで和風の味に仕上げている。添えるお茶は、地元産の茶葉をブレンドした茶舗焙焙焙(ばいばいばい)(吉原)のほうじ茶。提供する容器には、かつて駅弁で用いられていたポリ茶瓶を採用した。
同プロジェクトの中心を担うのは、おむすび・総菜販売店「おむすびさや」(五貫島)店主の佐藤清可(さやか)さん。会社員として20年余り働いた後、「子育てをしながら思いきり働き、思いきり子育ても楽しみ、自分の人生も輝かせられる環境づくり」をコンセプトに起業。現在は「作り置きおかず研究家」、保育士、MC・ナレーターなどの顔を持ち、「はぐくむFUJI家事育児サポート事業者」として「asobigokoro(アソビゴコロ)」の運営にも取り組んでいる。
佐藤さんは「この弁当が皆さまと富士市の食材、店を結ぶきっかけの一つになれたらうれしい。食材の魅力を感じたら、ぜひ生産者さんの店に足を運んでほしい」と話す。
販売時間は11時30分~13時30分。価格は1,500円。事前予約はウェブサイトで受け付ける。