
「みんなが書く戯曲のコンテスト」入選作品のリーディング静岡公演「でも、『普通』ってどういうこと?」が9月28日、吉原山妙祥寺(静岡県富士市中央町)で開催される。
同コンテストは、NPO法人「鳥の劇場」(鳥取県鳥取市)が2023年に始めたもので、「障害」をテーマにした短編戯曲作品を募っている。障害のある人が書いた作品や、障害者が登場する物語を対象とし、2023年は244の応募作品から6作、2024年は192の応募作品から5作が入選。全国各地でリーディング形式による公演を行っている。静岡公演は、一般社団法人「スケラボ」が制作。演出家・劇作家・批評家の大岡淳さんが演出を務める。
今回は4作品を上演。「つかみ合えハリネズミ」(作=津森道満さん)は、吃音(きつおん)という繊細な題材をあえて喜劇として描き、その両輪に挑戦している。「bamboo」(作=モスクワカヌさん)は、真夜中のファミリーレストランを舞台にした会話劇で、何気ない語らいをシンプルなリーディングに仕上げた。「釣り」(作=せこ三平さん)は大岡淳さんが一人で演じる作品で、中年男性と銀ザケの対話から浮かび上がる現代の風景を表現する。「わかめじゃないから」(作=中野そてっつさん)は、ある家族の対話を新劇的に描いた作品。「普通」をキーワードに静岡版ならではの視点を盛り込み、公演の締めを飾る。
スケラボ・おてんば劇場の加藤剛史さんは「公演の注力点は、社会性とポップさの両立。障害をテーマに扱う意義は伝わっても、『難しそう』『押し付け』とならないように、劇表現として『面白くあること』にこだわって作っている。同様の企画は鳥取・東京・茨城・宮崎・静岡と全国5カ所で展開し、現場ごとに異なるカラーで楽しめる仕様になっている。静岡会場は、とにかく多様性。劇場を飛び出した公演や企画名も静岡だけ異なり、出演者も全会場の中でも最多。10~60代の幅広い世代のメンバーが、県の東部・中部・西部から集まった」と話す。
「オンライン稽古を多用しながら、オール静岡で取り組む姿は、地域演劇の見本市。推しのキャストを見つける機会にもなり、楽しみ方もまた多様。鳥の劇場と文化庁の企画から始まった特別な公演。妙祥寺で皆さまとトゥギャザーできることをメンバー一同、楽しみにしている」と来場を呼びかける。
13時開場、13時30分開演。チケットは、一般=1,000円、学生=500円(前売り・当日同料金)。