山梨県都留市の官民連携まちづくり法人「まちのtoolbox」(都留市上谷1)が現在、山梨県東部地域で作られる織物「郡内織」の技法「ほぐし織」の魅力と伝統を未来へつなぐためのプロジェクトを展開している。
江戸時代に郡内織で栄えた山梨県都留市。郡内織は、和服から洋服への服装の変化や海外産の安い織物の流入、実用性志向など価値観の変化についていくことができず、製造の存続や文化の継承が危機的状況になっているという。
現在、都留市で織物業を担うのは、傘製造が1社、ネクタイ製造が1社、座布団製造が1社、布団製造が数社で、布団製造を除く3社は後継者がいない状態だという。中でも傘は、織物部分は市内で作っているが、組み立ては大阪で行っており、市内で織りから組み立てまで一貫して行える状態になく、一気通貫の体制作りが課題となっている。
郡内織を後世に残し発展させようと「まちのtoolbox」は、都留市の谷村織物工業組合と連携し、技術の担い手育成の事業を展開している。事業第1弾として2021年1月に、郡内織の中でも高い技術が求められる「ほぐし織」を使った傘を生産できる体制を再興するきっかけにと、傘づくり教室を行った。
傘づくり教室への参加希望者は多いものの、技術を身に着けるための実習費用の負担が重く、全てを実習生で担うことは難しい状況だという。プロジェクトの継続を目的に「まちのtoolbox」は、クラウドファンディングという形での支援を求めることを決めた。
クラウドファンディングでは、傘の担い手育成を行うだけでなく、郡内織製品の一貫生産、「made in 都留」の郡内織ブランディングを行うことで、かつての織物のまち・都留を取り戻し、都留市のまちづくりに寄与していくことも目的にしている。
クラウドファンディングは10月1日まで。